こだいらぽんたの読書日記

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「オフサイドの位置」にいることは「良くない行為」である!? 中村敏雄著『オフサイドはなぜ反則か』

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中村敏雄著『オフサイドはなぜ反則か』(平凡社ライブラリー

ざっくりとした内容

オフサイドがなかったら、すぐにゲームが終わっちゃう!短いゲームなんて言語道断、ゲームは長ければ長いほどいいんだよ。なぜって、フットボールは人々と感情を共有する大事なお祭りなんだから。多民族国家のイギリスには特に、こういうお祭りマジ必要。勝つとか負けるとか、そんなのどうでもいいんだよ!

オフサイドがなかったら、「密集と突進」が少なくなって男らしいプレーが見られなくなっちゃう!だって、「オフサイド」って「チームを離れている」ことでしょ。観客の中に飛び込んでどさくさまぎれにゴールを決めるようなヤツとか論外。怪我人のふりしてトンズラするヤツとかありえない。てなわけで、オフサイドやっぱ必要。

オフサイドのルールと、イギリスの産業革命の関係は見逃すな!だっておカネがあったからラインのあるグラウンドが作れたんだし、それがなかったらオフサイドってルールもあり得ないしね。

 

かんたんレビュー

サッカーを日頃見ている人はわかるだろうが、ボールがネットを揺らし「やったあああ!」と叫んだあと、副審が旗を高々と上げているのを見て「オフサイドかよおお」と頭を抱えるシーンは意外と多い。サポーターも選手も経験があるはずだ。しかし、オフサイドがなかったら得点をするのが容易になってゲームがつまらなくなることは想像できる。それではオフサイドはなぜ生まれたのか。

サッカーやラグビーのルールに登場する「オフサイド」。「オフ」=離れる、「サイド」=チーム。つまり「オフサイド」とは、「チームを離れる」ことなのだ。選手が観客の中に紛れてどさくさまぎれにゴールを決めたり、怪我人のふりをして勝手にゲームから離脱したのではたまらない。「密集と突進」こそ、男らしいプレーだと見なされるのだから。イギリスのフットボールの歴史をひもとくと、いかに「オフサイドの位置」にいることが「良くない行為」だと人々がみなすようになっていったかがわかる。

ところで、オフサイドというルールができる以前のフットボールの歴史も、意外と面白い。18世紀頃はラインを引かずに大人数で好き勝手にやっていた。「囲い込み」や排水路づくりに反対する連中が集まると、フットボールをやりながらどさくさまぎれに耕地を荒らしたり池の堤防を壊したりして暴れまわったりもした。ラインがないから、連中は勝手気ままに自由に移動しながらフットボールをする。グラウンドが整備されるには、イギリスの産業革命を待たなければならなかった。グラウンドにラインが引かれるようになればこそ、オフサイドのルールも登場するようになるのである。

また、フットボールは、村人たちの感情や意思を共感・共有する<祭り>の場でもあった。だから、できるだけ長く続けることが大事であり、勝敗なんてどうでもよかった。「勝つことを目的とする」とルールをはっきり述べたボールゲームは野球以外ないのではないか、という筆者の指摘も興味深い。アメリカ型スポーツとイギリス型スポーツの違いだろうか。

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