こだいらぽんたの読書日記

古典多めの読書日記です。名作映画100選もあります。

世界近代文学50選の1作目。(1/3)ボッカッチョ著『デカメロン』<上>(平川祐弘訳/河出文庫)

桑原武夫が『文学入門』で選んだ「世界近代文学50選」。読んでおいて損はないということなので、1冊ずつかんたんレビューを挙げていきたい。

ということで、まず1作目だ。

f:id:kodairaponta:20180122211813j:plain

 

ボッカッチョ著『デカメロン』<上>(平川祐弘訳/河出文庫

ざっくりした内容

*14世紀のイタリア。フィレンツェではペストが猛威をふるっていた。たまたま教会に居合わせた女性7人男性3人は、ペストから身を守るためフィレンツェから避難して郊外の別荘に移ることにした。これが、なかなか優雅な避難生活。彼らは若くてお金持ちなのだ。うらやましい。

*「ゲームをするより、みんなの前で物語をひとつずつ話すことにしない?」この提案により、10人の紳士淑女は一人ずつ物語を語り始める。デカ(10)メロン(日)。またの名を「十日物語」。本書は10人がひとりひとつずつ10日間、計100の物語を語り合うという話なのだ。

*毎日お題が変わるぞ!1日目のお題は自由。2日目は「様々な悪運にさいなまれたが、予期に反して幸福な終わりを迎えた人について」。3日目は「たいへん欲しがった物をいろいろ智恵を働かせて手に入れた人や、一度失くした物をまた取り戻した人」。さあ、何を話そうか? 

かんたんレビュー

河出文庫の『デカメロン』は上巻・中巻・下巻の3分冊だ。それぞれが分厚いので、一冊ずつ「かんたんレビュー」をあげたい。

中世ヨーロッパで「黒死病」とよばれるペストが猛威を振るったことから話は始まる。このペストの話がグロい。発病すると、まず股の下や脇の下に鶏の卵ぐらいの腫物ができる。次には、その大きな腫物が所かまわず吹き出てしまう。しばらくすると、黒や鉛の斑点が体中に出てきて、ほとんど助かることはない。感染力が強いので、ペストに罹患した病人は親兄弟からも親戚からも使用人からも見捨てられてしまう。

死臭が町に漂い始めてからやっと、隣近所の人たちはどこかの家の病人が死んだらしいことに気づく。そのままにもしておけないので、近所の人は死体を部屋から引きずり出し、戸口に置きっぱなしにしておく。そうすると、運び屋さんが持って行ってくれる。・・・という、すさまじい状況が描写されている。

そんな悲惨な町フィレンツェから逃げ出す紳士淑女の10人。上巻では第1日目から第3日目までの30の物語が彼らによって語られる。物語のストーリーも面白いが、とにかくエッチな話が多くてびっくりする。

第2日第9話も、性行為の描写はないが生々しい。ひとりの男が「俺の妻は貞淑だから絶対に浮気なんかしない。俺の妻に言い寄ってなびかせてみせたら、大金をくれてやる」と、馬鹿な賭けをする。そこでカネ目当ての輩が、男の妻の寝室に忍び込み、左のオッパイに数本の毛が生えていることを確かめる。そして、「お前の女房と寝たぞ。俺はお前の女房のカラダの秘密を知っているんだからな」と言い張り、まんまと男からカネをせしめるのだ。当時のイタリアでは、男も女も、全裸で寝るのが普通だった。だからこんな話が成り立つ。

結局、カネをだまし取った男のインチキはばれて、彼は処刑されてしまう。処刑の仕方もグロい。杭に縛り付けられ、身体にたくさんの蜜を塗られ、ハエ、ハチ、アブに刺され、骨の髄まで虫に食いつくされ、男は苦悶のうちに死んでいく。漫画『闇金ウシジマくん』で、体中に蜜を塗られ、樹海に置き去りにされ「処刑」される債務者の話を読んだことがある。その時は「すごいこと考えるなあ」と感心したものだが、元ネタは『デカメロン』なのだろうか?ちなみに、当時のイタリアでは、この手の処刑が普通に行われていたということだ。火あぶりも残酷だが、これも怖い。

(中巻に続く)

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村