こだいらぽんたの読書日記

古典多めの読書日記です。名作映画100選もあります。

世界近代文学50選の2作目。デフォー著『ロビンソン・クルーソー』<上>(平井正穂著/岩波文庫)

世界近代文学50選」の2作目だ。

f:id:kodairaponta:20180129155822j:plain

デフォー著『ロビンソン・クルーソー』<上>(平井正穂著/岩波文庫

ざっくりとした内容

*時は17世紀。ロビンソン・クルーソーは「世界中を旅したい!」という放浪癖に取りつかれているものの、貿易商人の船に乗り込んでは痛い目にあってばかりいる。しかし、紆余曲折あってブラジルに渡ってから行った農園経営は順調。しかし、クルーソーの放浪癖はおさまらない。「オレって農民に向いてないかも!?」と思い始めるクルーソーであった!

*農園経営の一番の問題点は人手不足だ。「よっし、黒人奴隷を運び込んで、近所の農園経営者と分配しようぜ!!俺がギニアまで行ってくる!!」というわけで、クルーソーと16名の船員たちはブラジルを出発する。しかし暴風雨で船は難破してしまう。奇跡的に生き残ったクルーソーは、どこだか知らない無人島にたどり着く。ここからクルーソーの35年間におよぶ無人島生活が始まる!

*難破した船から武器・弾薬はじめ、大工道具やらペン・インク・聖書にいたるまで、いろいろなものを救い出したクルーソー。これらが無人島生活を支えてくれた。いかだや丸木舟を作ったり、大麦をまいて収穫したり、野生のヤギを捕まえて山羊牧場を作ったり。慣れればこの生活もなかなか快適だ。「オレがこの領土の王様である!」そんなある日、クルーソーは人食い人種どもがこの島に上陸していることを知る。奴らは戦争で捕まえた捕虜をこの島に連れてきて食い散らかし、自分の島に去って行くのである。いったいどうなる、いったいどうなる、ロビンソン・クルーソー!?

 

かんたんレビュー

 『ロビンソン・クルーソー』上巻は、無人島生活を余儀なくされた主人公ロビンソン・クルーソーがさまざまな工夫をこらして生き抜き、人食い人種たちに食われそうになった「蛮人」を助けて従僕とし、最後は故国ロンドンに帰郷するまでの話がおさまっている。絵本や小学生向けにリライトされた本で読まれた方も多いと思うが、原作を読まれた方は意外と少ないのではないだろうか。

クルーソーは生まれ持った放浪癖に取りつかれ、貿易商人の船に乗り込んでは痛い目にあう。初めての航海では暴風雨に見舞われ、その次はトルコの海賊船に拿捕されている。そのときは、奴隷として2年間ばかりこき使われているのだ。主人の元から脱走したクルーソーがたどり着いたのはブラジルだ。そこでクルーソーは農園経営に着手し成功を収める。

だが、農園経営は慢性的な人手不足だ。当時、黒人奴隷はスペインとポルトガルの独占事業だったため、奴隷の値段は非常に高かった。そこでクルーソーは黒人奴隷をこっそり運び込み、農園仲間と分け合うためにギニアまで出かけるのである。クルーソーは黒人奴隷の密貿易の途中で難破しているのだ。なんともエグい。

 

無人島には食人種の集団がたまにやってくる。彼らは戦争で捕虜にした人間(彼らも食人種である)を食べるために無人島にわたり、散々食い散らかして帰っていく。この「食人種」とは、どうもカリブ海のどこかに住むインディオを指しているように思えるのだが、本当に彼らは食人種だったのだろうか?当時の白人が、インディオや黒人をどのように見ていたかうかがい知ることができる一場面だ。

クルーソーは食人種に食われそうになっていた「蛮人」を助け、彼に「フライデー」という名をつけて従僕とする。はじめに教えた英語は「旦那様」だ。おいおい・・・。

 

もちろん、興味深い発見もたくさんある。当時、貿易船は海賊に襲われる危険性があった。だから武器弾薬を積み込み、いざというときは戦わなければならなかった。クルーソーがトルコの海賊に襲われた時、そのときの臨戦態勢の様子が生き生きと描かれていて面白い。

無人島での生活も「そういうものか」と思わされる場面が多い。クルーソーは難破船から犬1匹猫2匹を救い出しているが、人間の友達になれるのは犬だけだ。猫は繁殖力が強く害獣と化してしまい、クルーソーは片っ端から撃ち殺す羽目になる。また、肉と乳を手に入れるために、野生の山羊を捕まえて山羊牧場を作る場面もある。野生動物を従順に飼いならす秘訣は、飢えさせることだそうだ。こういうディテールはかなり興味深い。

 

クルーソーはハイジャックされたイギリス船の船長を助け、ハイジャック犯の船員たちをやっつけ(食人種といい、ハイジャック犯といい、けっこうな数を殺している)、船長に感謝されつつロンドンまで船に乗せてもらう。35年の無人島生活はここに幕を下ろすのである。

この本には下巻もある。ほとんど読まれていないであろう『ロビンソン・クルーソー』の続編だ。下巻は上巻以上に血なまぐさい。次回レビューをあげたい。

(下巻につづく)

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村