こだいらぽんたの読書日記

古典多めの読書日記です。名作映画100選もあります。

見ておいて損はない名作映画100選の4作目。映画:藍色夏恋

見ておいて損はない名作映画100選の4作目は台湾映画だ。派手さはないが、じわじわと静かな感動が迫ってくる作品だ。

 

4作目。

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藍色夏恋
(2002/台湾・フランス)
藍色大門 BLUE GATE CROSSING
監督:イー・ツーイェン
出演:チェン・ボーリングイ・ルンメイ/リャン・シューホイ

 

ざっくりとした内容

*主人公は17歳の女子高生、モン・クーロウ。彼女は親友のリン・ユエチャンから恋の相談を受ける。相手は水泳部のチャン・シーハオだ。モン・クーロウはユエチャンのために「付き合っている子いる?」とチャン・シーハオに話しかけたり、ラブレターを渡したりして骨を折る。そうこうしているうちに、チャン・シーハオはユエチャンではなく、モン・クーロウに好意を抱き始めてしまう。「俺たち、付き合わない!?」と、いくら追い払ってもついてくるチャン・シーハオ。やれやれ。一度くらい付き合ってやるか!

*砂浜にデートに行ったモン・クーロウとチャン・シーハオ。ふたりともデートなんか行ったことないから、ぎこちなくて仕方ない。しかし、ふたりの距離は徐々に縮まっていく。一方、ユエチャンは「ねえ、本当にふたりは付き合ってないの?」としつこい。このままでは親友を失ってしまうと感じたモン・クーロウは、「もう、会いにこないで。好きじゃないから」とチャン・シーハオに一方的に告げてしまうのだった。そればかりか、ユエチャンに請われるまま、彼女をチャン・シーハオに紹介する。「付き合ってあげて」。残酷な行動だ。チャン・シーハオは怒る。怒って当然だ!

*傷心のまま、夜の砂浜で海を見つめるモン・クーロウ。そこに、先ほど大喧嘩したチャン・シーハオから携帯に電話がくる。「別に用事はないんだけど・・・そうだ、明日の水泳の試合を見に来てほしい」と。彼の声を聞きながら、モン・クーロウは号泣してしまう。どうしてこんなに優しい人を振り回し、残酷な振る舞いをし、真正面から傷つけてしまったのか?どうしてもっと賢く振舞えないのか?「失恋しちゃった。早く忘れられるといいな」とモン・クーロウは思うのだった。

そして、次の日・・・。

 

かんたんレビュー

 17歳は自分のことで手一杯だ。だから自分の感情をいとも簡単に爆発させるし、他人を堂々と傷つけてしまう。相手を平気で困らせたりもする。残酷な振る舞いも平気でする。モン・クーロウは、手も足も自分の思うとおりに動かすことができず、ことばもうまく使えないハリネズミみたいな女の子だ。チャン・シーハオに「付き合おうよ」と無邪気に言われたときも、親友が熱をあげる男の子と付き合ったら面倒だという気持ちが先にたち、「好きじゃない!」と噛みつくような断り方をしている。


彼女は親友のユエチャンを失いたくない。ところがこの親友たるや、「女性が嫌いな女性ランキング」の上位に躍り出そうな自分勝手なヤツなのだ。この親友のわがままにモン・クーロウは散々振り回される。それでもモン・クーロウの高校生活にとって、ユエチャンはかけがえのない居場所となっている。彼女を失うなんて考えられない。

モン・クーロウだって、本当はチャン・シーハオが好きなのだ。でも、「ねえ、ふたりは本当に付き合ってるの?ウワサは本当なの?」とユエチャンにしつこく聞かれたら、「付き合ってない!」と答えるしかない。絶対に彼女だけは失いたくないのだから。モン・クーロウは「私は女の子が好きなの。だからあなたと付き合えない」と、チャン・シーハオに告白もしているが、いやいやその「好き」はちょっと違うだろう、と思わざるを得ない。


ユエチャンみたいな面倒な女とはさっさとさよならして、チャン・シーハオと楽しく付き合えばいいじゃないか。外野からはそう見える。でも、これは大人の目線だ。そういう大人だって、17歳の時はそんな割り切った行動を取れなかったはずだ。他人のことなんか考える余裕もなく、自分の感情のままに振る舞い、時には残酷なことを言ったりやったりして、真正面から他人を傷つける。そして、自分もボロボロに傷ついてしまう。本当はもっと賢く振舞いたいのに。傷つかない方法はあるはずなのに。でも、仕方がないのだ。

「なんであんなこと言っちゃったんだろう」「どうしてあんなことしちゃったのかな」と、17歳を振り返れば後悔することばかりだ。そんなはかない体験を繰り返しながら、みんな大人になっていく。不器用に手足を振り回すだけで、何も手に入れていないかのように思える17歳の夏。

 

でも「ほんとうのこと」は残る。相手が本気になって向き合ってくれたこととか、カッコ悪いけど誠実だったとか優しかったなとか。「ほんとうのこと」はいつまでも残るのだ。

ラストシーン。シャツをはためかせながら自転車を走らせるチャン・シーハオの後ろ姿にモン・クーロウのモノローグが重なるのだが、これには泣ける。なつかしくて切なくて、何ともいえないほろ苦さが残る。

 

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