こだいらぽんたの読書日記

古典多めの読書日記です。名作映画100選もあります。

野島博之著『三行で完全にわかる日本史』(集英社)

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野島博之著『三行で完全にわかる日本史』(集英社

「これさえ読めば日本史のアウトラインはわかる。暗記前にこの一冊を仕上げておけば・・・」という初学者用の本は多い。ところが「あれもこれも」と盛り込みすぎるのか、肝心のアウトラインがぼやけている本も多い。

ところが、この本は輪郭がくっきりしている。三行解説のあとの「もう少しだけ詳しく」という解説の内容も、もともと日本史に興味がある人に楽しめるようになっている。わかりやすいが、レベルが低いわけではない。

ところで、三行ってなんだ?と思われるかもしれないが、本当に三行なのだ。
たとえば、「ワシントン会議」の項。三行解説はこうだ。


ワシントン会議

第一次大戦が超悲惨で世界は「戦争ヤダ!」的空気。
でも日本は大儲けしたので周りの国と温度差が。
日本は軍縮会議に出て協調はしたけど、不満顔・・・。(P163)


ワシントン会議第一次世界大戦後、アメリカ大統領ハーディングの提唱で行われた軍縮会議だ。 900万人も死者を出した世界大戦だが、主戦場はヨーロッパにすぎず、日本が総力戦で戦ったわけではない。むしろ日本は、他国が殴り合っている隙に中国に進出したり、ヨーロッパへの輸出が増えたりでおいしい思いをしている。世界と日本に軍縮に対する温度差があったことは、この時代を知るうえでかなり重要だ。こうした「時代を知るうえでのキモ」がピンポイントでわかるようになっている。


「戦争に勝ったら儲かるんだもん」と完全にギャンブル中毒者みたいになっている日本と「戦争という名のギャンブルは勘弁」と思っている世界との対比の仕方が笑える。苦手な人が多いであろう明治・大正・昭和史も、すんなり頭に入ってくるから不思議だ。
ほかにも「関ケ原の戦い」は豊臣vs徳川の戦いではなく、豊臣家内の政権抗争だったとか、「第二次世界大戦」で日本はアメリカに負けたのではなく中国に負けたのだとか、目からうろこの知識が多い。なんといっても、読み物として面白いのがいい。

 

ところで、三行になにかをまとめるのは要約力がいる。

「三行で完全にわかる『赤と黒』」(素晴らしい小説だが、さて、まとめられるか?)

「三行で完全にわかる『ゾンビ』」(名画を三行で!ホラーならいけるか?)

「三行で完全にわかる『平昌オリンピック』」(書き手のセンスが問われそうだ)

こんな練習をしていると、文章力と要約力が同時に上がるかもしれない。試してみよう。

 

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