こだいらぽんたの読書日記

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「時代は旧制度をぶち壊す人物を必要とした」司馬遼太郎著『国盗り物語』(2)斎藤道三<後編>(新潮文庫)

天下取りの野望を抱き、その足掛かりとして美濃を「盗った」斎藤道山編の後編をお送りする。

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司馬遼太郎著『国盗り物語』(2)斎藤道三<後編>(新潮文庫

ざっくりした内容

クーデターにより土岐政頼を追放し、自分の思いのままに動かせる土岐頼芸を美濃の新しい守護職に据えた庄九郎(後の斎藤道三)。美濃を「盗る」まであと一歩だ。邪魔な勢力を蹴散らせ!

*庄九郎の前に立ちはだかる最大勢力は、追放された殿様・土岐政頼に仕えていた家来たちだ。特に政頼の家老だった長井藤左衛門は、庄九郎を暗殺しようと刺客を送る。庄九郎はそれを逆手に取り、「謀反」の疑いで、藤左衛門たちを徹底的にやっつけてしまう。

*昔の殿様一派が消えたなら、あとは今の殿様を追い出すべし!庄九郎が新守護職につけた土岐頼芸は、女と酒と美食三昧の無能っぷりを発揮する。「こんな殿様イヤだ」と部下たちも嫌気がさしてきたのを見計らい、庄九郎はまたしてもクーデターを結構。土岐頼芸を追放し、ついに美濃を手に入れる。だが、頼芸は「美濃を取り返して!美濃の土地の一部をあげるから!」と越前の朝倉氏、尾張織田氏に泣きつく。さらに頼芸の弟たちも庄九郎の前に立ちはだかる。三方向から一気に攻められて、勝ち目はあるのか庄九郎!?

*庄九郎は戦争においても有能だった。巧みな戦術で、越前も尾張も「反庄九郎派」の美濃勢も蹴散らしてしまう。なかでも、尾張織田信秀にはかなり手を焼いたが、最後には圧勝する。これで晴れて美濃は庄九郎のものとなったのだった。しかし、すでに庄九郎は50歳を過ぎ、天下を手に入れるには時間が足りないことをしみじみと感じるのだった・・・。

かんたんレビュー

相変わらず斎藤道三はすごい。槍の達人なので、自分を暗殺しにきた忍者をやっつけてしまう。どんな女もメロメロにするほどセックスが上手い。他国の情報を仕入れるために年がら年中旅をしていた人物でもある。生身の人間としてあり得ない。もはやマンガなのだが、それでも引き込まれてしまう。

第1巻のレビューでも書いたが、大山崎八幡宮の神人の話は実に興味深い。歴史の教科書では無味乾燥に思える記述しか書かれていないが、天下のどこに行っても商業が許可営業制だということがいかに息苦しいか、この小説を読んでよくわかった。勝手に販売する者があれば、その許可権を持つ社寺が「神人」という名のチンピラを使って打ちこわしをしたり、商品を奪ったり、時には売人を殺したりもした。(彼らは警察権を持っているので、殺人も罪にはならない。)営業許可をもらった店も、売り上げの何割かは無条件で大山崎八幡宮におさめなければならないし、販売区域も厳しく制限された。

時代がどれだけ旧制度をぶちこわす人物を必要としていたかがわかる。だから、読み進めるうちに、「斎藤道三、がんばれ!」となるのである。楽市楽座や城下町作りで町には活気が生まれる。身分にかかわらず有能な人材も登用される。すばらしい。

 

斎藤道三幸若舞の「敦盛」が好きだったという。

人生五十年

化転のうちにくらぶれば

ゆめまぼろしのごとくなり

 

人間など、観じ来れば一曲の舞にもひとしい。     生あるもののなかで滅せぬもののあるべきか。

庄九郎の好きな一節である。のちに庄九郎の女婿になり、岳父の庄九郎こと斎藤道三を師のごとく慕った織田信長は、やはりこの一章が好きであった。(『国盗り物語』(2)P134)

 

「美濃の蝮(まむし)」こと斎藤道三が美濃を手に入れたとき、彼は齢50を過ぎていた。道山の天下取りの野望は、織田信長に受け継がれることとなる。

 

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