こだいらぽんたの読書日記

古典多めの読書日記です。名作映画100選もあります。

「テロじゃ世の中変わらない。だったらどうすべきなのか?」司馬遼太郎著『竜馬がゆく』(2)(文春文庫)

尊王攘夷派(外国は出て行け派)vs佐幕派(とりあえず開国派)の対立が徐々に鮮明になっていく。竜馬は尊王攘夷を唱える過激派にシンパシーが持てない。幕府は倒したい。しかし、佐幕派を殺害するテロの手法で世の中は本当に変わるのだろうか。

竜馬にはまだ具体的な絵は見えてこない。竜馬はどこにゆくのだろうか?

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司馬遼太郎著『竜馬がゆく』(2)(文春文庫)

ざっくりとした内容

*当時の若者の流行思想は「尊王攘夷」だ。ところが相変わらず竜馬はノンポリだ。親友の武市半平太も「あいつには思想がない!」とイライラしている。そんな竜馬の江戸留学期間は終わり、彼は土佐に帰国することになった。帰国途中、竜馬は朝廷の家臣・水原播磨介と出会う。播磨介は大老井伊直弼排斥を含む水戸からの密書を朝廷に持ち帰る途中だった。命がけで任務を遂行しようとする播磨介の姿を見て、竜馬の「何か」が変わる。土佐に帰った竜馬は突然学問を始め、難しい書物にもがんがん体当たりするようになる。

1860年大老井伊直弼が水戸・薩摩の志士たちに暗殺されるという大事件が起こる。この事件をきっかけに「幕府は意外とたいしたことないんじゃないか?」という空気が広まる。過激な尊王攘夷思想を持つ武市半平太は、土佐の志士を募って「土佐勤皇党」を作る。「薩長土の有志連合で幕府を倒そう!」というわけで、薩摩・長州の志士とも連絡を取っている武市。しかし、どの藩も佐幕派の家老たちが権力を握っていてうまくいかない。

*ついに武市半平太は、クーデターを決行することにした。佐幕派の頑固家老・吉田東洋を暗殺し、東洋に排斥された旧守派を押し立てて政権を取るのだ。そして、裏で武市が旧守派を操り土佐藩を生まれ変わらせるのだ。しかし、そのアイデアに竜馬は反対だった。旧態依然とした土佐藩を生まれ変わらせるのは無理だ。こんな藩は見捨てて外からの改革を目指すべきではないか。しかし、クーデターは決行され、吉田東洋は斬られる。一方、竜馬は土佐藩を見捨てた。     脱藩である。

 

かんたんレビュー

この巻では、ノンポリだった坂本竜馬がついに思想というものを持つようになり、「こんな腐れ藩、ダメだ」と土佐藩を見限って脱藩するまでが書かれている。竜馬は尊王攘夷派ではない。倒幕論者であり、開国主義者であり、同時に「土佐藩なんか消滅しろ。藩なんか時代遅れだ」とも思っている。そこが土佐藩を立て直そうとした武市半平太との大きな違いだ。

この巻でも大きな対立軸が現れる。

1.土佐藩における「上士」vs「郷士

第1巻から何度も繰り返されている対立軸だ。上士は関ケ原の合戦で勝ち組になった山内家の子孫、郷士は負け組の長宗我部家の子孫だ。身分差別は厳しく、郷士は上士に無礼討ちにされても文句が言えない。郷士たちの怒りは爆発寸前だ。

2.「尊王攘夷派」vs「佐幕派(体制派)」

武市半平太薩長土の勤皇派と連絡を取ることで、三藩連合による倒幕を考えていた。ところが、各藩の権力者たちは頑固な佐幕派だ。土佐家老の吉田東洋、長州家老の長井雅楽(うた)、薩摩藩主豊信の父親である島津久光らに押さえられ、勤皇派は身動きがとれない。そこで「現状を打破するにはクーデターを敢行するしかない!吉田東洋を斬って政権を取ろう」と武市半平太は決意する。吉田東洋は教養が深く、藩政では次々と斬新な政策を実行して富国強兵策を目指し、有能な人材をどんどん登用する一方で、容赦なく無能な人間を次々と切り捨てた。この態度が多くの敵を作った。

3.「吉田東洋派」vs「反吉田東洋派」

吉田東洋派」には、東洋に見出された後藤象二郎・乾退助(板垣退助)などの新官僚がいる。一方「反吉田東洋派」は、東洋から無能の烙印を押され、排斥されたどうしようもない連中だ。武市半平太はその無能軍団を権力の座に押し上げることでクーデターを成功させようとした。そして東洋は斬られ、無能軍団は権力の座についた。しかしこの体制で土佐藩は本当に生まれ変わるのだろうか。

竜馬は土佐藩の改革には全く興味がない。藩という器そのものが時代遅れだと思っている。そこでとりあえず脱藩しようと決意し、同志である沢村惣之丞と共に土佐を抜けるのだ。土佐を抜けるまでの山道は相当険しかったようだ。

以前、高知県の檮原(ゆすはら)という場所を訪れたことがある。ここには「龍馬脱藩の道」が残っている。忘れられないほど素晴らしいところだった。

 

明治維新の役者も揃いつつある。第1巻ではすでに桂小五郎が登場し、第2巻では中岡慎太郎、久坂玄端が登場する。第3巻では誰が登場するだろうか。

(第3巻に続く)

 

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