こだいらぽんたの読書日記

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姫野桂著『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)/本当に困っているなら当事者同士で分かち合おう。

姫野桂著『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書

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発達障害グレーゾーン」とは、専門医から発達障害だと正式に診断されたわけではないが、定型発達(健常者)とも言い切れない層のことをいう。障害者手帳をもらったり薬を服用したりするほど重い症状が出ているわけではないのだが、周囲から「空気が読めない」と言われたり「仕事上のミスが多い」など、明らかに人とは違っているので日々生きづらさを感じている。「グレーゾーン」の多くは「発達障害だと診断された方がどれほど楽か」と感じているようだ。はっきりとした病名がついていた方が「自分はこれができない」と割り切って生きられるからだ。

一方、「グレーゾーン」の人たちで悩みを分かち合おうという具体的な試みも行われている。この本で紹介されているのは「グレーゾーン」の人たち限定の茶話会で、その名も「ぐれ会!」だ。ユニークなのは、発達障害と診断された人は参加資格がないということ。参加資格があるのは、専門医に行っても発達障害だという診断が下りなかった人、医者には行っていないが自分で発達障害を疑っている人のみだ。そんな「グレーゾーン」の人たちがお茶やお菓子をつまみながら気軽に話し合う。この会のルポがとても面白かった。

まず数人のグループに分かれて自己紹介。みんなとても緊張している。その後、決められたテーマについて話し合う。この時のテーマが秀悦だ。「これまでに読んだり見たりした映画ドラマや漫画や本の中で、『この人は発達障害っぽいな?』というキャラクターを紹介してください」というもので、これなら初対面でも話しやすい。『のだめカンタービレ』の「のだめ」は発達障害っぽい!とか、『ガラスの仮面』の北島マヤは間違いなくそうだろうとか、次々に発達障害っぽい登場人物が出てくる。場がぐっと盛り上がったところで後半はそれぞれが個別の話をするのだが、みんなが日常生活で本当に困っていることが切実に伝わってくる。「ぐれ会!」はとてもいい試みだ。

本書の最終章は「グレさんたちが見つけた『生き抜く方法』」だ。「仕事でのケアレスミスを少なくする方法」「会社の同僚とうまく付き合う方法」などの個別の案件に対して、「こういう風にしたらいいんじゃないか」という「グレーゾーン」の方々からの具体的な提案が示されている。当事者みんなで悩みを共有しつつ、前を向いて生きようとする気持ちが伝わってくる本だ。

 

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