こだいらぽんたの読書日記

古典多めの読書日記です。名作映画100選もあります。

藤岡換太郎著『フォッサマグナー日本列島を分断する巨大地溝の正体ー』(ブルーバックス)/地質学は壮大なミステリーだ!

藤岡換太郎著『フォッサマグナー日本列島を分断する巨大地溝の正体ー』(ブルーバックス

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フォッサマグナ」とは、本州の中央部の、火山が南北に並んで本州を横断している「巨大な地溝」のことだ。西側の境界線は新潟県糸魚川から静岡県までの「糸魚川ー静岡構造線」。一方、東側の境界線は不明だ。巨大な溝の東西は約1~3憶年前の古い地層だが、フォッサマグナの内部は約2000万年前の新しい地層になっている。しかも溝の深さは6000m以上なのだ。いったいこの巨大な溝はどうやってできたのか?

実はフォッサマグナがどのようにできたのか、まだ明らかにはなっていない。深さが6000m以上だと伝えられているが、実は底まで掘りぬいたことは一度もないのだという。フォッサマグナは謎だらけなのだ。しかし、フォッサマグナが世界唯一の地形だと聞くだけで心が躍る。

地質学者である筆者はフォッサマグナの壮大な謎に挑みつつ、地質学という学問がどういうものかていねいに教えてくれる。地質学は何百万年といった人間の寿命をはるかに超えたものを扱うので、「ただ一つの正解」を見つけることはできない。実験で再現することもできない。地質学は足で状況証拠を拾い集め、数多くの証拠から仮説をたて、矛盾する仮説は捨てるという作業の繰り返しだ。本書ではさまざまな事柄を説明するのに耳慣れない専門用語が登場するが、すべてていねいな解説付きだ。ダイナミックで途方もないスケールの地質学がぐっと身近に感じられる。

本州のど真ん中を南北に通っているフォッサマグナは、南と北ででき方が違う。北側は日本海ができると同時に日本列島が折れ曲がり、日本の中央に裂けめが入って形成された。南側は、海底プレートの移動によって運ばれてきた島弧が本州にぶつかり、上層部が剥ぎ取られ押し付けられ合体して形成されたものだ。押し付けられた島弧は伊豆半島になり丹沢山地になったというが、その現場を誰も見た者はいない。だが、この本を読むとその壮大なイメージが絵となって伝わってくる。科学者が自分の頭の中にあるイメージを一般人にわかりやすく伝えることは大切な仕事だと思う。

ちなみに、フィリピン海底プレートは新しい陸地を次々と運び続けているので、そのうち伊豆大島や三宅島や、あげくのはてにはハワイ諸島も本州にくっついてしまうかもしれないとのことだ。黙っていても日本国土が広くなるなんて夢のような話じゃないか。少なくとも5000万年後の話らしいが。

本書では日本にあるいくつかの「ジオパーク」の紹介も載っている。ジオパークとは、地球科学の遺産が保全され、地質学的なことが学べる公園だ。個人的には伊豆半島ジオパークにとても興味がある。ぜひともフォッサマグナに会いに行こう。

 

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